書籍「日本の戦争」の感想

毎年この時期には、太平洋戦争に関する書籍や映画に接している。
今年選んだのはジャーナリストの田原総一朗氏が書いた「日本の戦争」。
明治維新から日清,日露戦争、そして太平洋戦争に至るまで、その背景や原因などを著者が様々な学者に聞いたり、書籍を調べ事柄をまとめたものだ。新しい史実や解釈が書かれているわけではないが、これまで私の中で曖昧だった史実が明瞭になることが多く、とても勉強になった。

この本は各章のタイトルが全て漢字四文字となっていて、第一章から順に「富国強兵」「和魂洋才」「自由民権」「帝国主義」「昭和維新」「五族協和」「八紘一宇」と、これを見るだけで内容が想像できる秀逸なタイトル付け。
著者の田原総一朗氏は近現代史の専門家では無い。しかし、戦前に学校で受けた教育と、戦後に知らされた事実とのギャップに疑問を抱き、なぜ日本が愚かな戦争に突き進んでいったかについて、ジャーナリストらしい視点と行動力で調べた集大成となっている。そのため、専門家が書いた書籍よりも、素朴な疑問を解き明かしているのが特徴で、読んでいて目から鱗が落ちることもしばしば。
例えば「富国強兵」とか「和魂洋才」といった言葉を最初に使ったのは誰か?とか、なぜ二・二六以降に軍が暴走したのか?本当に暴走したのは軍だけか?天皇陛下も反対していた日米開戦を止められなかったのはなぜか?といった疑問に対し、しつこいくらい学者に尋ねたり書籍を調べて、それらを紹介している。話が脱線することもあって読みにくさを感じることもあったが、紹介された調査結果には説得力があって勉強になる。

この本を読んで私が最も印象に残ったのは"石原莞爾"という人物。今までは満州事変を首謀して、政府の意向に反して中国への侵略を進めた悪者という印象しか無かったけど、その後の盧溝橋事件や日中事変には反対し、日本の南進政策にも強く反対していたことを、恥ずかしながらこの本で初めて知った。
そのため東条英機とは対立して、軍から追放されたそうだが、もっと石原に力があれば歴史は変わっていたかも知れない。私は石原の思想は全く受け入れないが、ちょっと好感を抱いた。

私の現時点での認識は、日中戦争から太平洋戦争に至るまで、日本が愚かな失政を繰り返した責任は、多くのバカ参謀,アホ役人,ダメ政治家にある。(更に間違った方向に誘導したマスコミも)
本書でも、間違った根拠に基づく誤った判断を繰り返すバカどもや、優柔不断な政治家が数多く紹介される。これらは知る度に腹が立つ。その根幹にあるのが、日清・日露戦争の勝利にあったことを改めて認識させられた。

ある史実の背景には必ず歴史があり、その歴史を学ばないと、人間は同じ過ちを繰り返す。そういう思いを強くしたのも、読後の感想。


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